生命の樹はどうやって造られたのか。
どういう作りなのか。
そして、タロットカードの大アルカナと小径(パス)の紐付けを紹介しています。
アイン、アインソフ、アインソフオウル(0・無から有)

有は無から生まれた
アイン | 否定(無) |
---|---|
アイン・ソフ | 無限(神) |
アイン・ソフ・オウル | 無限光(光) |
全てのものには原因がある。という「原因と結果の法則」があります。
という事は、この世界が創られたことにも原因があるはずです。
カバラには「0」の概念があり、世界は始め「0・無」であったとされています。
よって「有」を作った存在は「0・無」。
それをカバラでは「アイン」「アイン・ソフ」「アイン・ソフ・オウル」として現しています。
生命の樹のはじまり
生命の樹は、何もない世界「アイン(無)」から始まり、アインから「アイン・ソフ(無限)」、そこから更に「アイン・ソフ・オウル(無限光)」が生じました。
そして「アイン・ソフ・オウル(無限光)」は、生命の樹の第1セフィラ「ケテル(王冠)」を産み出し、雷の閃光を発する事により順にセフィラをグラウンディングし、物質世界である第10セフィラ「マルクト(王国)」に到達しました。

カバラーによる生命の樹の始まりの認識
カバリストは最高の神を認識不可能であると考えています。
それを知るには認識できる属性を順にはぎ取っていき、最後に残ったものをとらえるしかありません。その認識可能な全てのものをはぎ取っが後に残る存在が「アイン・ソフ」=神であり無限である。と考えられています。
10段階のセフィロト
セフィロトとは神から万物が創造された10の段階を表現したものです。
10種の属性をセフィラといい、全体をセフィロトという生命の樹として象徴されます。
セフィロトは世界のあらゆる現象の秘密が隠されており、これによって証明できないものは何一存在しない。そして、この神的流出過程を逆にたどることによって神の叡智へと到達することができると考えられています。
10個のセフィロト
「0・無」から流出する「セフィロト」の数は10です。
この10は9でもなく11でもありません。
- この偉大な知恵を直観せよ。
- この知識を理解せよ。
- そして賢明であれ。
- この神秘を探求し、そこに思いを馳せよ。
- あらゆる事物を10の「セフィロト」を使って検証せよ。
- 「言」を「創造主」として復権させ、その「創造主」を玉座につかしめよ。
- この「創造主」こそ唯一の「形成者」でありこの「創造主」以外にいかなる「形成者」もない。
- その属性は10であり、しかも限りはない。
〈引用文献〉
セフィラ、セフィロト

「セフィロト」というカバラ用語は『創造の書』(カバラの重要な書物)によって初めて使用されました。
10のセフィラのうち初めの4つのセフィラは『エゼキエル書』(旧約聖書の三大予言書の中の1つ)に記述された四つの生物(Hayyot)と密接な関係があると指摘されています。
この4つのセフィラは創造する力であり、神性の内部からの流出(Emanation)ではなく、世界の四大要素を表現しています。
「神の霊」「全世界の大気中の聖霊・エーテル」「水」「火」のことです。
「セフィロト」はヘブライ語名詞の「セフィラ(Sefrah)」より派生した言葉で、その本来の意味は「数」あるいは「範疇」です。
13世紀に成立した後期カバラ思想大系ゾハル(Zohar)においては、セフィラは「光」あるいは「球体」という意味を持ちます。
22の小径(パス)

セフィラを繋いでいるのが小径(パス)であり22のヘブライ文字と対応しています。
- 「ケテル(王冠)」から始まった神的流出は、次のセフィラ「コクマー(知恵)」へと向かいます。ここには世界の設計図(種子)がプログラムされています。
- さらに「ビナー(理解)」が世界を具現化していく段取りを決めていきます。
この三つが神的世界の三位一体です。
次の段階から霊的世界へと向かいます。
- 「ケセド(愛)」が流出し「ゲブラー(法・正義)」へと向かって対立します。
ゲブラーから悪が現れるためケセドの愛で押さえます。相対的な世界で悪が出現するのは仕方がないことです。 - ケセドとゲブラーを調停するのが「ティファレト(慈愛)」です。
一番大切なので身体部位でも心臓となっています。 - そしてティファレトの光は「ネツァク(耐久・勝利)」へと流れ入りパワーを増幅されます。
- これが「ホド(尊厳・栄光)」へと手渡され情報整理されるのです。
- ここから「イエソド(基礎)へ向かい「マルクト(王国)」において全てが受け止められます。
形成の書(セーフェル・イェツィーラー)と22本のパス(小径)
後3世紀~6世紀の間に形成の書(セーフィル・イェツィラー)という重要なカバラ文献が成立しました。ここには生命の樹の10のセフィロトと22の小径(パス)に宇宙論的象徴体系が配当してあります。
その形成の書(セーフィル・イェツィラー)の冒頭の一部分に、「三十二のありがたき知恵の道に、数と文字と音により自らの名を刻んだ」とあります。
この「三十二のありがたき知恵の道」とは10のセフィロトと22の小径(パス)を指し、22本の小径(パス)(数)はヘブライ語のアルファベットにあたるアルフベート(文字、音)を指します。
22のアルフベートはセフィラとセフィラを繋ぐ22本の道とされ、それらの文字と道は創世記の神の御業と結びつき、あらゆる知恵、真実、知識を説明しているとされています。
タロットカードと22本のパス(小径)

☆22本のパスはタロットカードの大アルカナと結びつきます。
【1】0.愚者 | アレフ(Aleph)【ケテル→コクマー】 |
---|---|
【2】1.魔術師 | ベート(Beth)【ケテル→ビナー】 |
【3】2.女教皇 | ギーメル(Gimel)【ケテル→ティファレト】 |
【4】3.女帝 | ダレット(Dalet)【コクマー→ビナー】 |
【5】4.皇帝 | ヘー(He)【コクマー→ティファレト】 |
【6】5.法王 | ヴァヴ(Waw)【コクマー→ケセド】 |
【7】6.恋人 | ザイン(Zayin)【ビナー→ティファレト】 |
【8】7.戦車 | ヘット(Cheth)【ビナー→ゲブラー】 |
【9】8.力 | テット(Teth)【ケセド→ゲブラー】 |
【10】9.隠者 | ヨッド(Yod)【ケセド→ティファレト】 |
【11】10.運命の輪 | カフ(Kaph)【ケセド→ネツァク】 |
【12】11.正義 | ラメド(Lame)【ゲブラー→ティファレト】 |
【13】12.吊るされた男 | メム(Mem)【ゲブラー→ホド】 |
【14】13.死神 | ヌン(Nun)【ティファレト→ネツァク】 |
【15】14.節制 | サメフ(Samech)【ティファレト→イエソド】 |
【16】15.悪魔 | アイン(Ayin)【ティファレト→ホド】 |
【17】16.塔 | ペー(Pe)【ネツァク→ホド】 |
【18】17.星 | ツァディー(Sadhe)【ネツァク→イエソド】 |
【19】18.月 | コフ(Koph)【ネツァク→マルクト】 |
【20】19.太陽 | レーシュ(Resc)【ホド→イエソド】 |
【21】20.審判 | シン(Sin)【ホド→マルクト |
【22】21.世界 | タヴ(Tau)【イエソド→マルクト】 |
まとめ:生命の樹のはじまり「無から有」は根源であり神秘
何もないところから光が産まれ、そして物質化する。
「無から有」
これが生命の樹の不思議な魅力の源なのではないでしょうか。
そして、
「セフィロトとは神から万物が創造された10の段階を表現したもの」
「三十二のありがたき知恵の道に、数と文字と音により自らの名を刻んだ」
神や宇宙を意識し、知恵、真実、言葉、哲学を巧みに使い描いた不思議な図形。
謎に包まれた神秘的な図形だからこそ「生命の樹」は今日まで語り継がれて来たのではないでしょうか。
